大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

三位一体と四聖人

ペゼッリーノ(1422頃〜1457)はフィリッポ・リッピのもとで修業したとされている。リッピの祭壇画のプレデッラや長櫃(カッソーネ)など小画面板絵の作家として活動していた。
リッピだけでなくマザッチョ、ウッチェロ、フラ・アンジェリコなどからも吸収し、彼独自の一種童話的な素朴さと虹のような効果の色彩にまとめている。
右図はピストイアのサン・ゼーノ聖堂三位一体聖職者会が自らの聖堂の主祭壇のため1455年9月にペゼッリーノに依頼したもの。主要パネルのほとんどを完成させたところでペゼッリーノが急逝、フィリッポ・リッピ工房によって仕上げられた作品。
空中に浮かぶマンドルラと天使たちに囲まれた父なる神・聖霊の鳩・十字架上のキリストの三位一体。聖人は左から聖職者会の主宰者が尊崇を寄せていた聖ママンテ(ママス)、ピストイアの守護聖人大ヤコブ、ピストイアの聖職者の守護聖人聖ゼーノ、聖ヒエロニムス。三位一体は従来の儀式的荘重さで描かれているが、逆向きに飛翔する天使、聖ママンテの気取ったポーズに作者が求めていた新しい表現があるのかもしれない。
ペゼッリーノとフィリッポ・リッピ工房
三位一体と四聖人
1455〜60年 板 テンペラ 184×181.5cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1